第2話 うつしよの街

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 この世界には僕のように人の形を取って意志を持つものと、植物や動物の姿でこちらに生まれ意志を持たないものとがある。それは現世にある間に、人々にどう思われていたかで決まるようだ。  そんな世界にごく稀にだが、現世(リアル)の世界から迷い込む人がいる。  この子みたいに。 「ねえ、ここどこ?」 「へんな女の子キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!!」 「そうです。私が変なお……誰が変な女よ!!!!!」  この辺のボケ突っ込み。ほんとすこ。 「ここはうつしよだ。ボブカットで小柄でまん丸顔の上下とも紺のジャージ姿の少女よ」 「うつしよ? って現世って意味だよね。長身で強面でブルージーンズに真っ赤なTシャツで、ちょっと嫌味っぽいお兄さん」  お互いの紹介乙。 「現世の意味ではなく、写す世界でうつしよだ。覚えておくように」 「なにそのこぴぺな世界感」 「ほっとけ。そういうものだから仕方ないだろ」 「異世界ってこと?」 「まあそう思っても良い。ただ」 「ただ?」 「バトルは期待しないように」 「期待なんかしてないって。ってことは私は死んだの?」 「部活の練習で寺の階段を上り下りさせられていて、下りるときに足をスベらせて転んで石灯籠に思い切りぶつかって全身を強打」 「そういえばすんごい痛かった記憶が」 「して、足首を捻挫しただけなのに気を失った」 「捻挫しただけ!?」 「石灯籠のほうがよほど重傷という」     
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