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第3話 あさっての朝に見る夢
夜寝れば朝になる。誰もがそれを信じている。だが稀に、その当たり前のサイクルが狂ってしまうことがある。
あさっての朝に目覚めたときがそれだ。そのとき見た夢を、悪夢と呼ぶ。
写し世はまさしく現世を映す鏡である。良い夢も現れるが悪夢だって生まれる。悪夢は現世で明後日の朝に発生し、写し世で育つ。
それは、交通事故、放火、暴力事件など、人が引き起こす事件の引き金となる。
その中でも特に「天魔の結晶」と呼ばれる悪夢が育つと、崖崩れや河川の氾濫、大地震など、自然災害まで引き起こすのである。いずれも人の想いが暴れた結果である。
日本は地震国であり台風の通り道でもある。豊富な水という恩恵も受けるが、水害とは無縁ではいられない国だ。
しかし、それを大災害にまで発展させてしまうのが天魔の結晶なのである。
その悪夢や天魔の結晶と日々戦って、現世に平穏をもたらしているのがこの写し世の住人たちである。
ただ、硯の暮らすこの地域では、悪夢は少なく天魔の結晶もめったに発生しない。大災害の発生率は低いのだ。そのために、少々のんびりした住人が多いようではある。
「じゃあ、とりあえず君の住民登録をしに行こうか」
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