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水面を見上げると、光を受けたその場所は、空の色を透過させていた。
優しくキラキラと揺らめいてはにじむ空を、遠く近く感じた。
水の中特有の圧迫された静寂に、吐き出す息の音だけがコポコポと小さな音を響かせる。
深い深い水底から上へ上へと昇っていく。
光を目指して進めば、色とりどりの魚たちが視界の端を横切って、あちらこちらに散らばっていく。
不思議なほど冷静に、自分の目に見えるものを1つひとつ確かめていた。
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