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そんなときに、僕を引き取りたいと言ってくれたのが矢野の両親だった。
彼らがどうして僕を引き取りたいと言ったのかはわからなかった。
僕にしてみれば、見ず知らずの大人だった矢野の両親。
引き取りの申し出があってから何度も顔を合わせ、少しずつ交流していったけれど、引き取られていく怖さがなかったわけじゃない。
でもそれ以上に、僕の中には強い思いがあった。
僕だけの家族がほしい。
先生でも友達でもない。僕だけの家族。
決して口にはしなかったし、態度にも見せなかったけれど、僕はずっと、家族がほしかった。
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