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たどり着いた教室の後ろの扉の前で足を止めた。 真山は教室の前の扉からさっさと入っていく。 ガタガタと着席する音が扉越しに聞こえた。 深く息を吸い込む。 それぞれの教室の喧騒が、扉越しに遠く近く響いていた。 扉に手をかけ、勢いよく開ける。 バン! と不自然なほど大きな音がして、教室中の視線がこちらに向いた。 「お前なードアが壊れるだろーが」 音にまったく動じることなく、真山が僕にそう声をかけた。 「張り切りすぎて、つい」 僕は笑顔でそう答え、自分の席の方へのろのろと向かった。 関わりたくないとでも言うように、みんなの視線が前を向く。 そのタイミングを見計らって、僕は真山を思いきり睨みつけた。 真山は僕の視線に気づくと、楽しそうにニヤリと笑っていた。
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