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「友永さん!こっちです」 病院のエントランスで待っていてくれた品川が大きく手を上げ合図をする。 タクシーを飛び降り会釈を交わすと、そのまま二人で早足でエレベーターへ向かう。 「間に合いますか?」 「前のオペが少しおしているそうです。看護師さんにはどうしても会わせたい人がいると言っておいたので考慮してくれるといいのですが」 豪雨の影響で列車が途中で止まってしまい、大幅に到着が遅れたのだ。 エレベーターのドアが開くのももどかしく二人で半ば駆けるようにして病室へ急ぐ。 「あの突き当りの部屋です」 品川がそう言ったまさにその時。病室のスライドドアが開き、白衣の男性看護師がベッドを曳きながら出てきた。 「待ってください!」 もう一人の女性看護師と二人掛かりでベッドを別の方角へ押していこうとしているところへ、品川が呼び止める。それに気付いてかベッドが止まる。 ここが病院だということも忘れて、駆け寄った。 ベッドの上の、あまり顔色の良くない純太が目を大きく見開いた。 「浩司!?なんで…」 「嘘つき純太、捕まえたぞ。もう、かくれんぼはお終いだ」 途端に大きな両目が潤み、純太の唇が震え始めた。 背後で品川が看護師たちに「どうか少しだけ時間をください」と頼んでくれているのが聞こえる。
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