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手を伸ばし、指先でそっと純太の頬に触れた。両目を覆っていた水の膜が一気に膨れて、目尻から外側へ零れていく。
「手術、頑張れ。ここで待ってるよ」
「…浩司…怖えよ。俺、全部、お前のことも忘れてしまうかもしれない…」
また目尻に大きな粒が転がっていく。
公園で初めて一緒に遊んだ日以来の弱気な涙。
だけど、俺はもう何を言っていいか分からず途方に暮れるガキじゃない。
「きっと大丈夫だ。万が一忘れてしまったとしても、もう一度純に好きになって貰えるように、俺、頑張るから」
本当は俺も、純がきれいさっぱり俺の事を忘れてしまったらと思うとちょっと怖い。
だが、それよりも恐ろしいのは純がこの世界から消えてしまう事。きっとその喪失感を埋める代わりのものは見つからない。
どんなカタチででもいいから生きていて欲しい。
だから、必ず戻ってこい。
「あ、ちょっと!」と男性看護師が慌てるのを無視して、こっち側のベッドの柵を下げる。
「上手くいくおまじない」
そう言って震える唇に口付けた。
このキスから俺の気持ちがちゃんと純太に伝わることを願いながら。
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