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それに俺の全部を分かってくれている恋人が温かく包んで支えてくれるから。安心して寄り掛かれるものがあるってやっぱりいいよな。
浩司との付き合いは長い。なにしろずっと…あれ?いつから?
肩を抱く男を見上げ、その男っぽい顔を見つめる。彼のもっと子供っぽい表情を俺は知っている。どこへいくにも俺の後をついて来て…そう、ずっと前から浩司とは…
「ん?どうした?」
こちらを覗き込む穏やかな笑顔。
ヤンチャなガキで、他人にはぶっきらぼうなくせに俺の前では甘えん坊で…いつの間にこんなに大人の男になった?
「こう…じ?」
「なんだよ、そんなに見つめて。あー、キスのおねだり?」
少し色っぽく笑った浩司がもう一方の手で俺の頬を包み、顔を近づけてくる。鼻孔が慣れ親しんだ浩司の匂いを捉える。
そう、俺はずっと昔からこれを知っている…はず。記憶の繋がった道が唐突に空中でスパっと断ち切られている。このまま進むと、落ちる?
唇が触れる直前に黒い瞳で見つめられ「純、愛してるよ」と甘く囁かれると、脳内に幸せホルモンがじわじわと広がってゆく。
合わせられた唇からも浩司の「愛してる」が流れ込み体内に浸透していく。
道路の先は見えないまま。
でも、まあいいか。
今、これ以上ないほど満ち足りているんだから。
両腕を愛しい男の首に回し、その口づけを深く受け入れた。
< 完 >
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