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雫ちゃんのことが…
ポロッ
手に水滴が落ちた。
…自然と涙がこぼれていた。
あれ?笑っていたはずなのにな…
心はどうやら違ったようだった。
「泣かないで、さっちゃん。」
雫ちゃんは小さな体で私を包み込むように抱きつく
前は冷たかった体が暖かく感じた。
「私はさっちゃんに笑っていてほしいの、泣かないで。」
冷たい心の壁が、雫ちゃんの暖かさで溶けていくようだった。
雫ちゃんは変わってない。
優しいままなんだ…
私も抱き返そうとしたとき、雫ちゃんはゆっくりと離れた。
「会えなくなるけど、私はこれからも見守っているから。」
突き放されたようだった。
「なんで!?これからも会おうよ!」
私のわがままに雫ちゃんは首を縦には振らず、静かに横に振った。
「神様とさっちゃんが18になるまでの約束なの、私は成仏しなきゃいけないの。」
悲しそうに言った。
その言葉に神様が反応したかのように降っていた雨がやみだし、空も晴れだした。
太陽の光が降り注ぎ、辺りは明るくなる。
それと共に雫ちゃんが薄く透けだした。
私は顔を覆い泣き出す。
「雫ちゃん…さよならなんてやだよ…」
「大丈夫、見守ってるから。」
声に顔をあげ、前を見ると雫ちゃんはいなかった。
本当に成仏してしまったんだと思った。
私は、顔中に付いた勢いよく涙を拭った。
そして顔をパチッと叩き微笑んだ。
もう泣くのは終わりだ。
雫ちゃんは消えてない、私の空の上で見守ってるんだから…
私は、雨が晴れ、まるでこどもが泣き止んだような空をみて……………………………
静かに微笑んだのだった。
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