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1.赤いレインコート
『本日19時頃、○●町で女子高生が切りつけられる事件が発生しました、犯人の男は捕まっておらず…』
雨の中、スマホでラジオを聞きながら田舎道をノロノロと歩くこと一時間。
田舎道なので、お気に入りのローファーは泥で汚れて、せっかく綺麗に縛った髪は湿気でもさもさして…
「ほんと…最悪。雨なんて嫌い。」
呟き、雨の中に消えていく文句。
私は梅雨に入りイラつきを覚えていた。
一刻も早く家に帰ろう。
そう思い、歩くスピードをあげた時、雨の中にぼんやりとした人影が現れた。
近づくにつれてその人影は、はっきりと小さな少女と姿になる。
明るい茶髪に似合う赤いレインコートを着た幼い少女
赤いレインコートは雨の中でもはっきりとわかるほどに赤かった。
女の子?こんな雨の日に?
不思議に思いながらも私は足を止めることなく少女の方に進む。
少女は大きな瞳で私を捕らえ、私が通りすぎると反対側へ走っていってしまった。
なんだったんだろ…まぁ、いっか。
私は一度立ち止まり振り向いたが、また家へと早足で向かい始めた。
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