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その日から私は赤いレインコートの少女を見かけるようになった。
ある雨の日は、同じ田舎道で。
またある雨の日は、街の交差点で。
かと思えば、雲一つない快晴だった日にはどこにも見当たらなかった。
そして今日は私の家の前で座り込んでいた。
今日も雨が降っており、お馴染みに赤いレインコートを着ている。
「何してるの?風邪引いちゃうよ?」
私は少女くらいにかがみ、優しく訪ねる。
この少女が私に用があるのは確かだ。
「…」
少女は大きな瞳で私を見つめたまま、口を開かずそのままうつむいた。
困ったなぁ…家の前にいられるのも迷惑なんだけどなぁ。
雨も強くなってきたし…
風邪も引いちゃうし…
「…あ、私はさつき。あなたの名前は?」
まず名前から聞き出すことにした。
この子が口を開くかはわからないけど…
案の定、少女はうつむいたままだ。
諦めて家に入ろう…
そう思ったとき。
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