1.赤いレインコート

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その日から私は赤いレインコートの少女を見かけるようになった。 ある雨の日は、同じ田舎道で。 またある雨の日は、街の交差点で。 かと思えば、雲一つない快晴だった日にはどこにも見当たらなかった。 そして今日は私の家の前で座り込んでいた。 今日も雨が降っており、お馴染みに赤いレインコートを着ている。 「何してるの?風邪引いちゃうよ?」 私は少女くらいにかがみ、優しく訪ねる。 この少女が私に用があるのは確かだ。 「…」  少女は大きな瞳で私を見つめたまま、口を開かずそのままうつむいた。 困ったなぁ…家の前にいられるのも迷惑なんだけどなぁ。 雨も強くなってきたし… 風邪も引いちゃうし… 「…あ、私はさつき。あなたの名前は?」 まず名前から聞き出すことにした。 この子が口を開くかはわからないけど… 案の定、少女はうつむいたままだ。 諦めて家に入ろう…   そう思ったとき。
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