第一話 下駄箱の中にイワシの頭事件

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第一話 下駄箱の中にイワシの頭事件

   暑いのか寒いのか、そんな境界線が分かりづらくなってきた五月中旬のとある日。  七時間は寝ていたはずなのに、目を覚ますとけだるさが八丁堀瀬名(はっちょうぼり せな)の肩にのしかかっていた。  何かに巻き込まれているのか、何かが起こっているのか、嫌がらせを受けているだけなのか、分からないまま一週間以上が過ぎていた。その心労がたたっていて、熟睡できていないのかもしれない。  顔を洗っても、朝食を食べてもそのけだるさは変わらず、制服を着て高校に登校しても相変わらずのけだるさで歩くのさえしんどかった。  そんなけだるさを抱えたまま、瀬名は自分の下駄箱を開けたのだが、一瞬、疲れのせいで幻を見たのかと思った。  何故か、焦げ目の付いた干したイワシの頭が下駄箱の中に靴と一緒に入っていたのだ。
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