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「友達だろ? 知っているんじゃないか?」
久堅は不思議そうな顔をして、俺を見つめた。
「そういう話はしないんだ。恋人がいるっていう話は聞いてはいるんだが」
警告、か。
俺のそれに近い事を言った後、瀬名の態度が変わって、話題を強引に変えた経緯がある。
二股の件で揉めているというのは本当の話なんだろうか。
で、二股相手の男から警告として、イワシの頭を下駄箱に入れられたとでも考えたのだろうか。
「今、結構揉めているらしいからな、巻き込まれないように気をつけろよ」
「そんなに揉めているのか?」
瀬名に限って言えば、そんな事をする男ではないと分かっているだけに、そういった噂が流れる要因があったのではと考えてしまう。
「ああ。相手の男と一触即発だったってよ」
「そうか、気をつけるよ」
イワシの頭を入れたのがそいつだとするのならば、この学校の生徒ということになる。部外者が平然とこの学校に入ってきて、下駄箱にイワシの頭を入れる事など不可能に近いからだ。
それとも、文武両道の瀬名に真っ向から立ち向かうのは無理だと分かっているから、嫌がらせて対抗でもしようとしたのだろうか。
「人の色恋沙汰に巻き込まれるのは面倒だからな」
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