プロローグ

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「知るか、そんなもん! 全部お前の勘違いだろうが!」 「おい、待てよ! 待ってったら!」 「いいわよ。あんな人、もうほっときなさい」 「あ、ああ……」 「大丈夫?」  うん、大丈夫。  心配されるほどでもない。 「……あら、あなたは……」  ここまでだ。  ここから先は聞きたくもない。  終わらせるべく停止ボタンを押して、殻に閉じこもった。  どうして愛を分かってくれないのだろう。  どうして視線にさえ気づいてくれないのだろう。  嗚呼、こんなにも愛しているのに……。  もしかして、見えていないのか?  他の人に隠れて見えていないだけなのか?  それとも、見えないようにしているのだろうか。  あいつらが邪魔をしているのか?  だとしたら、排除しないといけない。  遮蔽物のような存在なんだ、あいつらは。  あいつらを消したら、きっと愛を感じ取ってくれるだろう。  邪魔者さえいなくなれば、きっと愛を知ってくれるだろう。  きっと。  きっと……。
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