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「節分の柊鰯の風習が真っ先に思い浮かんだが、生憎、今日は節分ではないし。それ以外だと、鰯の頭も信心から、という意味合いがあるのかと思ったが、何かを信じているワケでもないから関係なさそうだし」
そう口にはしたが、おそらくは柊鰯に結びつけた『何か』であるように考えていたりする。
イワシの頭だけで答えを出すのは難しい。イワシの頭の他に関連した『何か』があれば、きちんと推理することは可能なのだが、今の項状態では憶測でものを言うしかない。
「ひいらぎいわし? なんだ、それ?」
「節分時に、魔除けって言う意味で、焼いた鰯の頭とひいらぎを玄関の戸口に飾るだろ。あれを柊鰯って言うんだ」
「ああ、あれか……」
「柊の葉が鬼の目に刺さるから鬼が入ってくる事を防ぐし、焼いた鰯の煙とか臭いを鬼が嫌がるから近寄らなくなるから、ああいう飾りを戸口に飾るようになったんだとか。百鬼夜行が信じられていた平安時代くらいからの風習みたいだな」
「ほぉ。博識だな」
「俺の推測なんだが、置かれていたのが焼いたイワシの頭だから近寄るなって意味なのかもしれない」
「つまり、警告、と」
「……どうだろうな」
こんな遠回しな警告をする奴がいるのかが問題だ。
直接言えない立場にあるのか、それとも、瀬名と話す気がないのか。
そういった考えは本当に考えすぎているだけで、ただのイタズラであったという可能性も捨てきれない。
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