20人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そっか、警告か。ケリ付けろって事なのか」
瀬名はパンを一気に口に突っ込んで、ベンチからやおら立ち上がった。
「何か心当たりがあるのか?」
「……なあ、邦雄」
「ん?」
「姫子とはやったのか?」
「っ!?」
いきなり突拍子もないことを言われて、むせそうになった上、俺は手にしていた弁当を落っことしそうになった。
なんとか弁当を支え、俺は瀬名を睨み付けた。
「な、なんだよ! いきなり!」
姫子というのは八丁堀瀬名の妹で、昔からよく遊んでいた事もあり、幼なじみというよりかは義理の妹に近い存在と言える。俺たちが高二なのに対して、姫子は中学二年生である。ツインテールの可愛い女の子であるのだが、俺と姫子はまだ付き合ったりはしていない。姫子の方から猛アピールしてくるのだが、俺にはその気がないのだからどうしようもないのだ。
「やってみてから付き合うかどうか考えるのもありなんだよ、邦雄」
「……」
「ありがとよ、邦雄」
瀬名は寂しげな笑みを一瞬だけ見せて、俺から離れていった。
強引に話題を変えられたが、強引すぎたせいで不自然さが出てしまい、瀬名の心の中に何か思い当たる事があったのだと予想できる。
俺には言えない個人的な問題なのだろうか。
それとも……。
最初のコメントを投稿しよう!