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時刻は午後2時半を少し回ったところ。 暑くもなく過ごしやすい気候で、とてもよく晴れていた。昼下がりの穏やかな空気の中、1時間ほど車に揺られて、少しうとうとしてきた。 「っ、やべ、寝ちゃう」 顔をペタペタと叩く。手で頬に触れていると、隣ですっかりくつろいでいる彼に笑われた。 「長旅だったから疲れたんだろう」 どこかでも言われたなその言葉。 「でも、飛行機の中で結構寝てきたんだぞ」 「寝足りなかったんじゃないか、俺がそばにいなかったから」 「そーかもな」 正直それはあると思う。口には出さないけど。 「だが、今眠ってしまうのは得策ではない。もうすぐ城に着くからな」 そういう彼の口調が穏やかで、余計に眠くなる気がした。 「もう着くんだ?」 「ああ、そろそろな。見てみろ、綺麗な街並みだろう。この街並みの中心地に城がある」 窓の外を指差した。ぽかっと浮かんでるクリームパンみたいな形の雲が、中世の佇まいを残す石造りの街の真上に浮かんでいる。思えば首相の同性愛告白のニュースでしか意識したことない国だったけれど、穏やかで優しい印象を覚えた。 腰に回されていた彼の手に、少し力が入る。 「だから、今夜、ゆっくり眠ろう」 意味深に囁きながら。
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