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 何の変哲もない日本の一角、ありふれた住宅街の奥に。  赤い煉瓦の花壇に囲まれて、小さな教会がありましたとさ。  その教会には、一匹の翼の悪魔がおりましたとさ。  ある日、悪魔を懲らしめに来た使いの神様のヒト喰いカラスは、真っ暗な礼拝堂で悪魔と問答をしましたとさ―― 「あのさぁ。『神』とヒトの恋愛って、どうすれば成立すると思う?」 「……は、ぁ?」  軽い口調の使いの神様は真っ黒な翼で、黒ずくめの服に銀色の髪。  呆ける悪魔は白黒の学生服で、白青に近い銀色の髪でした。  不躾な使いの神様に悪魔は呆れた暗い眼色で、質問に質問で返しました。 「何でオレにそれをききますか。人間と恋愛したいなら、人間のことは人間にきいてください」 「何だよ、ケチだな。冥途の土産にそれくらい、いいだろ?」 「冥途の土産をもらうのはオレです。オマエはオレを殺しにきたんですから」 「つれないな、相方なのに。とりあえず悪魔に丁寧口調、似合わないし」  黒い礼拝堂には十字架を飾る祭壇と、綺麗に並んだ長椅子だけが浮き上がっています。  悪魔は最前列の長椅子に座り、使いの神様は逃げるのを阻むように椅子に片足をかけ、悪魔を見下ろして無邪気に笑いました。 「神と悪魔。互いに互いが、切っては切れない存在だろ?」 「それはどこの中二病ですか。神と悪魔が相方なんて言ったら、怒る団体が山程あります」  悪魔はただただ、使いの神様の戯れに苦い顔をすることしかできません。
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