スコールの傘

3/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 それで、地球温暖化を防ぐためにどうしたかというと……地球に降り注ぐ太陽の熱をコントロールしよう、という話になった。  それであの傘だ。  晴れていた筈なのに辺りは、急激に曇っていく。  常に太陽を追いかけている、成層圏よりほんの少し下あたりの高度をほぼオートマティックで運航する日除け傘。  大きさはご覧の通り。工学迷彩の都合日食が起きている時くらいしか姿が見えない。太陽を追いかけ、在る程度の周期で2時間ほど太陽を覆い隠してしまうあの傘は……実は、分類としては飛行機なんだって。  常に太陽を追いかけているので場合によっては日本の上空を離脱してしまう。今は国際的にこの傘の評価は得られているらしくて、太陽を追いかけながら基本的には海面を移動し、了承を得ている国の上空だけを飛び続ける……多分、永遠にね。  ついでに、今では太陽光発電パネルを背負っていて全世界の電力の、10パーセントをも賄う振興エネルギー生産筆頭でもあるという。  太陽光発電も出始めの頃は、発電効率が10パーセントにも満たなかったそうだ。今は技術革新もあって当時の80倍の発電力を持っている。写真で見るような貧弱な施設では無くなったよ、取り出せる電力が強い分、管理体制も強化されているしね。  その発電パネルをあの傘に搭載しているんだ。もしかすると、こっちの方が本命だったのかもしれない。  発電効率と電力供給方法がもう一段階改善したら、空に浮かぶ傘の2号を作って新たに飛ばすと政府が息巻いている。     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!