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(えっ)
思いもよらなかったその発言に私は固まってしまった。
ただ単に繰り返せばよかっただけなのだ。けど....
(恥ずかしい....)
私は黙りこくってしまった。
カラオケルームに響くBGM。
みんなの固まった表情。
行き場のなくなったマイク。
「ゆ、優香、こうゆう時は思いっきり、ふざけちゃっていいんだからね、....じゃあ、次いこー!」
「あ、うん....」
もう2度とその友人からカラオケに誘われることはなかった。
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“ふざけることができない”
気づいてしまったら、もう後の祭りだ。
そのときから、普段の高校生活でも周りの空気を気にするようになってしまった。そして、また気づいてしまったのだ。
友達が、わたしといるより、他の子と一緒にいるときの方が、ずっと笑っていること。
教室の中で、勉強しているのは、私くらいで、ほとんどみんな、楽しそうにふざけあっておしゃべりしていること。
私がふざけられないせいで、真面目キャラのせいで、みんなは私の前で、爆笑をみせないということ....
私はショックを受けた。
だから、変わろうとしたのだ。けど....
恥ずかしさを免れることが出来なかった。
やっとの事でふざけた言動や行動をしても、
「え、優香ちゃん、どうしたの....?」
と、少しひかれてしまうばかりだった。
この3年間ずっと真面目キャラで生きてきたため、もう周りの人には“真面目な私”が染み付いており、もう中学校で変わることはできないことがわかった。
だから、高校に入学したら変わろうと思ったのだ。
いわゆる、高校デビューをしようと心に決めていたのだ。春休みも毎日のように
「ふざけられるようになるぞっ!」
って鏡の前で唱えていたのだ。
それなのに....
やっぱりダメだった。
(初対面なのに、ふざけたら、自己チューだとか、カマチョだと思われて、嫌われるかも....)
などといろいろと嫌な結果を考えてしまい、全く実行に移せなかったのだ。
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