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「私は、あまり家族に馴染めませんでした。
両親にとって自慢の娘である姉を中心としたコミュニティが出来上がっていましたから。
幼い頃から、姉は両親に挟まれて歩いていました。
二人に両の手を預け………
二人に包まれて歩く姉の姿を、
私は、いつも後ろから眺めていました。
私が大人しい子供だったという事もあるとは思いますが………
両親の視界に私が入る事は、ほとんどありませんでした。
姉が二人の視線と関心と、両の手を独占している間………
彼らが私を振り返る事はありません。
付き人か影のように………
黙って付いて行くだけなのです」
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