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「それは……辛かったね。
さぞかし、疎外感を感じただろうね」
月並みな台詞を述べた大野に対し、沙夜香は苦笑する。
僅かに憂いを秘めた笑みではあったが、
今では、すっかり吹っ切れているのか、
沙夜香は意外な言葉を返す。
「……いいえ。
大したことはありません。
……そりゃあ………
当時が辛くなかったと言えば嘘になりますが…………
でも、その分、孤独に慣れ、余り寂しさに飲まれない人間になりましたから」
存外にアッサリとした口調で彼女は切り返す。
そう言えば………
沙夜香は、一人で過ごす時も、余り寂しそうな表情を見せない娘だった。
友人らが学校から帰る時も、彼女らを引き止めるような素振りは見せず、アッサリとした反応だったように思う。
家族との親しみが薄い分、
それを寂しがり執着する所か、逆に早くに
自立心を培ったのかもしれない。
彼女にとって孤独とは――――
忌み嫌うものではないのかもしれない。
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