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人気の無い静かな教室…………
傾きかけた陽射しの中、一人、佇む沙夜香………
教室で良く見掛ける
そんなシチュエーションが、大野の庇護欲を刺激したが、
確かに、初めて話し掛けた時から彼女は……嬉しそう………というよりは、
寧ろ僅かに煩わしさすら滲ませるような気配を放っていた。
大人しい雰囲気から、
何となく、自分が守らねば……
寂しさを抱えた彼女を構ってやらねばと、
まるで彼女の騎士か何かのような気持ちでいたが、
本当に構われたいのは自分の方かもしれない…………
そんな考えが大野の脳裏を過る。
しかし、そこから浮かび上がる己の実状が
何だか幼く、情けなく思えて………
大野はその考えを素直に受け入れる心境にはなれなかった。
これでは、まるで……………
大野の方が寂しさを紛らわせる為、彼女に縋りついているかのようではないか―――――。
軽く首を横に振りながら、
直ぐ様、考えを払拭する。
(孤独に慣れるなんて……
そんな事、ある訳がない。虚勢だ。
仮に、それが真実だとしても…………
彼女は僕の事を必要としている。
現に、こうして僕だけには胸の内を明かしているじゃないか。
………僕の事だけは、必要としているんだ)
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