1.出逢い

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人気(ひとけ)の少なくなった校舎……… 傾いた陽射(ひざ)しが淡く照らし出す教室………… 放課後のこの時間だけが、沙夜香と二人きりになれる、貴重な一瞬(ひととき)だった。 本当は、いつだって、こうして二人きりで過ごしていたい。 それが、大野の本心だ。 けれども、教師として、 沙夜香のみを熱心に指導する姿を誰にも見られてはならない………。 (これは飽くまで生徒指導の一環だ。 別に(やま)しい事なんて何も無い。 それに、皆が居るより、二人きりの方が…… 彼女も素直に悩みを相談し易いだろう……) そう自分に繰り返し言い聞かせ……… 胸の奥底に眠る……一抹(いちまつ)の欲望には(ふた)をする。 気付いてしまえば『教師』でいられなくなるから―――――。 飽くまで、自分は教師として、彼女に向き合っているのだと言い聞かせる。 誰に対する言い訳なのか………… 自分でも、良く解らない。
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