第一話 雨が降る日は

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 クラスに元々「晴れ男」と呼ばれる子がいた。別に彼がいると雨が上がるとか、晴れるとかではない。単にその彼の名前が「太陽(たいよう)」という名前だからだ。その子は何故か、先陣をきって積極的に私を虐めた。ちょっとカッコイイな、なんて思ってだだけにショックだった。  二人ほど見張り役がいて、先生が来たらすぐに辞めるように徹底していた。だから先生はこの事を知らない。  虐めと言っても、ただクラスの子たちに囃し立てられて、せいぜい髪を引っ張られたり、つつかれたり押されたりして転ばされたりするくらいだったから、そう大したものではなかったのだと大人になった今ならそう思う。  けれど、当時は辛かった。先生に絶対知られないようにやっているから、両親に話しても信じて貰えないだろうし。だから家では何事もなかったように明るく楽しそうに振る舞っていた。 「今日は誰々ちゃんと遊んで」 「誰々君がこんな事いって面白かった」  両親にはこうなったらいいな、という願望を話して聞かせたものだ。話している間はとても楽しかった。その間は、あたかも本当にあった事のように感じられたから。  クラスでは相変わらず太陽が「晴れ男」として君臨していている。その時は自分の気持ちをうまく言語化出来なかったけれども、雨が駄目で太陽が良いだなんて人間が勝手に主観で決めたものだ。ただ、雨が降り過ぎても、陽でりが続き過ぎても農作物を始め地球上の生物にとって都合が悪い。要はどちらも必要という事だ。みんなにそう叫びたかった。
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