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「小鬼よ、すまぬな」
ぬんさんが声をかけると鬼塚さんは「いいってことよ!」と言いながらガスボンベを降ろし、寸胴に入っていた業務用のコンロと繋げ始めました。
どうやら『鬼塚建築会社』は毎年社員を集めて、大晦日から元旦にかけて寝ずに大規模な飲み会をするらしいのですが、ぬんさんがこのピンチを知らせたところ快く手伝いに来てくれたようなんです。鬼塚さんのこういう部分は漢気があってすごく良いですよね。ちなみに会社の倉庫では飲み会が続いているようです。
「にゃ!早く作るにゃ!」
コンロの設置が終わると同時に、ちらんさんとマオさんが動き出します。そばの汁は赤さんの特製でしたがもうほとんど残っておらず、かと言って一から作る時間も無いため市販の麺つゆとだし汁を買ってきてくれたようなのです。
「赤にゃん青にゃん、勝手に汁を作らせてもらうにゃ!」
「あぁ〜助かる!」
ひたすらそばを茹で続けている赤さんは本当に大変そうですし、青さんは茹で上がったそばにひたすら汁をかけています。チーム猫又のホール担当のジャコちゃんたちはそんな赤さんと青さんの補助に入ります。
「水はどこにゃ?」
「もうねぇんだ〜。社務所か本殿で貰って来てけれ〜」
ヘロヘロの赤さんの言葉を聞いたちらんさんは、鬼塚さんを呼びました。
「小鬼!このポリタンクに水を入れてくるにゃ!」
仕事モードのちらんさんはいつもの自信なさげなちらんさんではなく、まさに職人です。鬼塚さんと鬼頭さんもそれを分かっているので「任せろ!」とポリタンクを重ねて持てるだけ持ち、「通してくれよな!」と神社へと向かって行きました。ただ二十リットルのポリタンクを一人六個も持って行くのは張りきりすぎだと思います。
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