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無料のそば処であるテントはスピードアップしたことにより、さらに人が並び始めました。一応『神社からの気持ち』ということで振る舞っているそばは、通常の三分の一から半分くらいの少量です。ましてや赤さん青さんの作る汁が不味いわけがありません。「美味しい」「けど少ない」といった感じでしょうか?食べ終わった人がまた最後尾に並び直す事態になっています。
私とぬんさんは人でごった返しカオスとなっている境内を「あー……あー……あー……」と見守ることしかできません。全く人が減らない列を見ていると声が聞こえてきました。
「赤にゃん!青にゃん!」
神社の裏手側からちらんさんたちの声が聞こえます。きっと烏天狗に送ってもらったのでしょう。「通してくださいにゃ!」と大きな声を出しながらこちらに向かって来ますが、その手にはビニール袋やら段ボールやらたくさんの荷物を持っています。
「猫!助かる!」
救世主の登場に赤さんと青さんはようやく笑顔を見せました。するとさらに聞き覚えのある声が聞こえて来ます。
「ちょっと道を開けてくれよな!」
その声の方向を見ると鬼塚さんがプロパンガスの業務用ボンベを二つ肩に担ぎ、その後ろには鬼頭さんが大きめの寸胴を担いで歩いて来ます。
「小鬼!助かる!」
さらなる救世主の登場ですが、どう見てもカタギに見えない二人がとんでもない物を持って現れたので境内は静かになり、そして自然と人の波が割れてテントまでの道が出来ました。
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