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「あのですね、ウカ様から伝言があります」
そう言うと山田さんの背筋が伸びました。その姿を見たぬんさんはまたイラッとしているようです。
「山田さんもでしょうが、お手伝いの方たちも多分限界ですよ?ウカ様が交代で休むようにと言っていました」
そう言うと、バッと御神酒を置いている台座の下を確認しています。どうやら時計を置いていたようです。そして時間を見て驚いているようです。
「ちょっとすみません……」
そう言って山田さんは、巫女として手伝っている飴ちゃんさんたちに声をかけています。さすがに人よりは寝なくても大丈夫だという妖怪ですが、疲れきっているようです。赤さんたちもゲッソリしてましたもんね。
どうやらお隣の保育園は三が日がお休みのようなので、そこを仮眠や休憩スペースとして使っているようです。何人かがフラフラと本殿から出て行きました。
「わざわざ伝えていただき、ありがとうございました」
いそいそと戻って来た山田さんは私たちに頭を下げます。そのまま終わりそうだったので、しっかりと伝えることにします。
「山田さん、私たちまだ御神酒を飲んでいません」
隣のぬんさんにも苦笑いされてしまいました。でも大事ですよね?初詣に来て御神酒が振る舞われていたのなら、車で来ていないのなら飲んじゃいますよね?あ、無料に群がる人の気持ちが分かってしまいました。
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