新年会

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あー!やらかしました!とんでもなく寝てました!七時に待ち合わせなのに、只今の時刻は六時五十分ですよ! 何となく気分で二度寝前にシャワーを浴びてて正解でした。でも着替えたり何やらで、もう時刻は七時になっています!これは……クッキーに乗るしかありませんね……。ダダダッと階段を駆け下りて玄関に向かうと、リビングから赤さんが顔を覗かせました。 「百合子、なした?」 「ちょっと出かけて来ます!晩ごはんはいらないです!」 そう叫びながら玄関を出て、クッキーを呼び出します。最初細長い形状のクッキーでしたが、商店街に乗せて行ってほしいと言うと、ヤル気モードの狐姿になりました。 「クッキー、ゆっくりで良いからね。全然とばさなくても大丈夫だからね……」 私がそう言っている中、クッキーの尻尾はブンブンと振られています。違うんです……押すなよ押すなよじゃないんです……。 恐る恐るクッキーの背中に乗ると、クッキーはターンと地面を蹴って空中に浮かびます。安定の嫌な予感しかしません。 「いやぁぁぁぁ…………!!」 ゆっくりって言ったのに、クッキーはゆっくりなんて飛んでくれませんでした……。しかも真冬の夜ですよ?凍死するかと思うくらい寒いのですが……。 烏天狗と違い、クッキーに乗っていると私が空を飛んでいるように見えるらしいのですが、真っ暗な夜で助かりました。近くの建物の陰に降りてもらい、寒さと恐怖からガチガチに震えながらなんとか商店街を目指しました……。
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