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そんなことを言っているうちに熱燗が運ばれて来ました。ようやく乾杯の時間です。私以外の皆さんはジョッキを持ち、私はおちょこを持っていよいよ乾杯です。
「新年会〜!」
「「「「ウェーイ!!」」」」
なんですかこの乾杯の音頭は。一人取り残された気分です。
「そうだった姉ちゃん!今日は紹介したい……」
皆さんグッと一口飲んだところで鬼塚さんが何かを言いかけましたが、店の入り口はガンガン叩かれる音がしています。
『貸し切りってなに〜!?』
『開けろ!』
そんな声が聞こえて来ました。平日とはいえ、実はこのぼったくりは連日沢山の人が来るお店なんです。ですから貸し切りでカギを閉めているのに文句があるのでしょう。安達さんはまた包丁片手に入り口に向かっています。
「あんまり人間を入れたくなかったんだけどよ、なんか悪いことしちまったな」
鬼塚さんも心配そうに入り口を見て、そう呟きました。
「そうだ!で、話は戻るけどよ……」
そこまで鬼塚さんが話すと、入り口から賑やかな声が聞こえて来ました。
「貸し切りって〜小鬼だったの〜!?」
「小鬼のくせに生意気だ」
なんと萌さんとユキさんが現れました。鬼塚さんは私をバッと見ますが、私も意味が分からず首を振ります。
「あ〜!百合ちゃんやっぱりここにいた〜!ご飯〜いらないって出て行ったから〜、ここかなぁ〜って」
どうやら楽しい(?)ことを嗅ぎつけて、お二人はここまで来たようです。ちなみに鬼塚さんは、一気に元気が無くなりました。
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