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萌さんとユキさんは「ビール二つ」と言いながら、二名の鬼塚さんの従業員の方をカウンター席に移動させました。なかば無理やりです。女王様二人に敵う人はいないようです。
すっかりと静まり返った鬼塚さんたちですが、萌さんたちにジョッキが届くと、またしても乾杯となりました。ただ今回は静かに、普通に「乾杯」でしたが。
「ん〜!今日もお酒が美味しいわね〜!……あれ〜?」
グイッとビールを飲んだ萌さんが何かに気付いたようです。
「ちょっと〜!久しぶりじゃな〜い!」
「あ……俺っちが姉ちゃんに紹介しようと……」
鬼塚さんが話しているのに、萌さんは完全に無視をしています。可哀想です。
「ねぇねぇ〜百合ちゃ〜ん!超珍しい鬼が〜いるわよ〜!」
そう言う萌さんは指をさしています。失礼ですからやめましょうね?
「萌、ユキ、久しぶり!」
「あ……俺っちが……」
またしてもスルーされた鬼塚さんを、鬼頭さんはなぐさめています。萌さんとユキさんにフレンドリーに話すその人を見ると、正統派のイケメンさんでした。この人が小滝くんの元先輩さんなんですかね?
「……はじめまして……鬼、なんですか?」
鬼要素が感じられない、ニコニコ顔のイケメンさんに話しかけると、皆さんがざわめき始めました。
「ちょっと〜百合ちゃんったら〜何ともないの〜?」
「……何とも……とは……?」
「よせ、萌。百合子はニブイ」
ざわめき代表の萌さんに聞き返すと、ユキさんが問題発言をしました。私、ユキさんよりはニブくないと思うんですが……。
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