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「あはは、こういう反応の子って、意外といるよ?はじめまして姫。シュウジです」
喪女には直視出来ない程の、キラッキラのアイドルみたいな笑顔で「姫」なんて言われてしまいました。ですけどね、私は卑屈の塊でもあるんですよね。こんな喪女に「姫」とか、普通の女子とは違う私はちょっと引いちゃいますよ。あと、ホストのわりには名前が普通なんですね。
「……桃田です」
一応ちゃんとご挨拶したつもりだったんですよ?ですが萌さんはゲラッゲラと笑い転げ、ユキさんは「拒絶!百合子が拒絶している!」と私のおでこを触って熱を計り始めました。……まぁ名字をぶっきらぼうに言いましたからね。
「……はは……百合子さん、こちらは俺が元いたホストクラブで、不動の一位をキープしてた先輩なんですよ」
「アダムはさぁ、本当にダメな子だったのに、よくこんなに真面目になったね」
そう言って小滝くんの頭を撫でるシュウジさんですが、私はすかさず反応してしまいました。
「待ってください、アダムってなんですか?」
すると誇らしげに小滝くんが話し始めました。
「あ、俺の源氏名です!愛に堕ちる夢って書いて『愛堕夢』です!カッコイイでしょ!?」
ごめんなさい、ドン引きし過ぎて鳥肌が立って、また寒気を感じ始めました……。他の鬼たちは「ヤベー!」「カッコイイ!」と騒いでいますが、理解出来ません。
「……熱燗二合お代わり!あとおちょこじゃなくて湯呑みで!」
現実逃避をするために、厨房に向かって注文をしてみました。
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