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湯呑みと熱燗が来たので、手酌酒を開始しました。
「豪快な女の子だね」
カリスマホストのシュウジさんは、笑顔で私のことを見ながらそう言いました。
「通常通りです。それに私、『女の子』じゃないですから。アラサー喪女ですから」
自分で言いながら自分で傷付きました。あれですよね。ボス戦で攻撃魔法を使ったら、ボスが反射魔法を使ってて自分に戻って来るみたいな……。けっこういいダメージをもらいましたよ……。
「百合子が山田以外を拒絶するなんて、何かあったのか?」
ユキさんは本気で心配してくれます。が、私が塩対応なのは山田さんだけじゃないですよ?餡子亭の山姥さんたちも苦手なんで……。
「何もないです。萌さんとユキさんは見慣れましたし、普段の私生活も全て知っているので慣れましたが、基本的に私はイケメンさんや美女が苦手です」
そう言うと萌さんは「え〜?美女〜?」と言いながら喜んでいますし、シュウジさんは「イケメンとは思ってくれてるんだね」とまた爽やかな笑顔で微笑んでいます。
すると隣に座っていた鬼塚さんが体ごと私に向かい、驚いた表情をしています。
「姉ちゃん……いつも済まねえな……」
意味が分からず、どういう意味か尋ねました。
「イケメンが苦手なんだろ?俺っち、そんなことも気付かずにいつも姉ちゃんに話しかけてたからよ……」
一瞬、何を言っているのか分かりませんでした。それはこの場の全員もそうだったようで、辺りに静けさが漂います。
「小鬼……まさか自分がイケメンだと思っているのか……?」
あのユキさんすら震えながら鬼塚さんに聞き返しています。
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