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鬼塚さんは心痛な面持ちで俯きました。
「今まで姉ちゃんにストレスを与えてたなんてよ……クソッ……!」
鬼塚さんは自分の世界に浸り、ユキさんと会話が成立していません。さらには従業員の小鬼さんたちから「姐御!社長がすまねぇ!」なんて謝られます。いろいろな意味でいっぱいになった私は、ついハッキリと言ってしまいました。
「鬼塚さんはイケメンではありませんけど……?」
そう言うと、鬼塚さんは真顔のままバッと顔を上げました。いつも笑顔なので気にしていませんでしたが、真顔がめちゃくちゃ怖いのですが……。
「そうか……そうだよな……」
鬼塚さんはそう呟きました。
「俺っち……勘違いしてたぜ……」
その言葉に萌さんは「いまさら〜気付いたの〜?」と言い、ユキさんは「勘違いも甚だしい」とバッサリと切り捨てておりましたが、鬼塚さんはさらに話し始めました。
「俺っち……ベビーフェイスだったもんな!可愛い顔だったのに、とんだ勘違いしちまったぜ!」
ウインクをして舌をペロッと出して、テヘペロを実践する鬼塚さんを殴りつけたくなりましたが、どうにか踏みとどまれました。というか、鬼塚さんのその鉄のハートとスーパーポジティブ思考、嫌いじゃありませんよ。
酒の席ですからね、皆さんであっはっは〜と笑っておりましたが、安達さんは一味違うお方でした。
「鶏四郎の死体……おっと手が滑った」
唐揚げを持って来た安達さんはなぜか手に包丁を持っており、そんなことを言いながら私と鬼塚さんの間に包丁を突き刺しました。出刃ですよ出刃。イケメン発言が許せなかった模様です。
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