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シュウジさんの正体が分からず、私は首を傾げるばかりです。
「百合ちゃん分かんない〜?鬼で〜イケメンで〜、あと〜名前もヒントよ〜?」
名前!?ますます分からなくなってしまいました。
「……すみません、本当に分かりません」
正直にそう言うと、シュウジさんはニッコリと笑います。
「鬼なんていっぱいいるから分かんないよね。酒呑童子って言えば分かるかな?」
シュウジさんはアッサリと正体を言い笑います。
「……あー!酒呑童子を略してシュウジなんですね!?」
そう言うと「正解!」とシュウジさんは微笑みました。小鬼軍団からは拍手までいただきましたよ。
「え?でも酒呑童子って、女の人をさらってた鬼ですよね……?もしかして、今でも……?」
お酒が好きで、女の人をさらう鬼だというのを思い出した私はビクビクしながらそう聞きました。すると私以外の全員が笑います。シュウジさんは苦笑いでお酒を飲んでいます。
「姉ちゃん、それが違うんだぜ!さらったんじゃなくて、京の女たちが一目惚れして押しかけたのが本当の話なんだぜ!」
「えぇ!?」
史実なんて全てが本当のことではないのでしょうが、あまりのことに驚きです。あ〜でもお酒が好きで、勝手に女の人が押しかけて来るなんて、ホストは天職でしょうね。
「さらにね〜すっごい術があって〜……」
「待て、萌。もっと百合子を酔わせてからにしよう」
萌さんの発言を止めたユキさんですが、なぜか全員が「ユキ!ナイス!」などと言っています。意味が分からないうちに、私あてに大量のお酒を注文されてしまいました。何が起こるんですか?
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