709人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ってことなんですよ〜」
「百合子、いい感じだぞ」
なぜか私は散々飲まされ、かなり酔っています。そんな酔っている私にユキさんは嬉しそうに「いい感じだ」と言いますが、意味が分かりません。
「ほれ!追加の鮭とホッケの死骸焼きじゃ!」
安達さんは「死骸焼き」なんて言いますが、普通の塩焼きです。
「安達さん!本当〜にネーミングセンスありますよね」
「いいからもっと飲め」
安達さんにまでお酒を勧められてしまいました。
────
それから数時間後、日をまたいだくらいでしょうか?和気あいあいと飲んでいる中、萌さんが突然質問をしてきました。
「百合ちゃんって〜、好きな人はいないの〜?」
「そんら人、いませんけろ?」
あれれ?私、初めてこんなに呂律が回りません。
「そっか〜じゃあさ〜、こんな人がいいな〜って理想の人とか〜いないの〜?」
なんか急に辺りが静かになった気がします。
「理想れすか〜?……ん〜……」
それまで全員が私を見ていたのですが、一気にシュウジさんに注目が集まりました。
「マジかー!」
「やっぱり〜!」
「そっかそっかー!」
みんなが騒ぐのでシュウジさんを見てみると、あまりにも素敵な人がそこにはおりました。
「酒呑童子の〜能力って〜好きな相手を見せる……百合ちゃん!?」
ベロンベロンに酔った私はトキメキ度が上昇してしまい、その場で意識を失ってしまったのでした。
翌日、そのことを思い出そうとしても思い出せず、萌さんたちに聞いても「理想の人を見て酔いつぶれた」とからかわれるだけで、モヤモヤが残った新年会でした。素敵な人だったという印象は残っているのになぁ……。私の恋は始まる予感すらありません。
最初のコメントを投稿しよう!