百合子の頑張り

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「では行ってきます」 そんなに離れていない場所へのただの里帰りですが、お屋敷メンバー総出でお見送りをされてしまいました。 「ご両親と仲良くするんじゃぞ?」 「百合ちゃんが〜いないの〜寂しい〜」 ぬんさんは笑顔で、萌さんはなぜか半べそです。 「今度は私も行こう」 「ダメです」 ユキさんの言葉にかぶせ気味にNGを出すと、ユキさんは「なぜだ!」と頭を抱えています。それはですね、萌さんもですが美人さんのユキさんが来たら、お父さんはデレデレになってしまうのが目に見えているからです。恥ずかしいじゃないですか! 「しぃも行けたらいいのにー!」 お父さんとお母さんに会ったことのあるしぃちゃんは、行きたいと駄々をこねます。それがまた可愛くて、動画を撮ってしまいました。お母さんへの良い土産が出来ました。 「百合子、コレ持ってげ」 赤さんと青さんからは紙袋を手渡され、中を覗くとハタハタ寿司という飯寿司やギバサという海藻、さらには「全部一緒に煮れ」と赤さん青さん特製のきりたんぽ鍋の具材と出汁が一式入っていました。 めちゃくちゃ重いのですが、食べ慣れている私はそれがどれほど美味しいのか知っているので我慢です。 「ありがとうございます。お父さんもお母さんも喜ぶと思います」 そう言ってペコリと頭を下げると、まだ心配なのか皆さんが一斉に話し出します。 「大丈夫ですから。それにお母さんとの待ち合わせは駅なんで、烏天狗さんやおっちゃんたちに乗って行けないんです」 苦笑いで何回目か分からない説明をすると、ようやく納得してくれたのか静かになりました。ちょうどタクシーも来たようですし、そろそろ向かいましょう。
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