百合子の頑張り

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タクシーに乗り込み、駅までお願いしますと言った私はスマホを取り出します。別にスマホに用はないのですが、知らない運転手さんに話しかけられないようにバリアの役目を果たしてもらうことにしました。 お屋敷から駅までは少々距離があるので、本当ならバス停で降ろしてもらってバスを使って駅に行ったほうが安上がりなのですが、バスって知らない人が隣に座ったり立ったりするじゃないですか。そうなると極度の緊張から呼吸が早くなって、ハァハァ言う怪しい人になってしまうので、その対策の為にお金の力を使って駅まで行ってしまおう大作戦です。 もちろん電車内にも人はたくさんいますが、そこそこ田舎なので満員電車じゃないのが救いなんですよね。 電車に乗り、窓の外の流れる景色を見ると、実家からはそんなに離れていない場所なのに、どこか遠くへ来たもんだなと思ってしまいます。家というか、部屋からも出なかった私にとっては、本当に遠い場所に感じてしまうのでしょう。この一年で、他人から見たらまだまだダメな人間なんでしょうが、私は成長したと思っています。 さて地元の駅に着き、改札を抜けるとお母さんが待っていました。 「百合子こっち!」 「あ、お母さん」 こまめに連絡をとっているので久しぶりな気はしませんが、実際にはお屋敷に来て以来会っていないので久しぶりなんですよね。今日はHoleshの整形メイクをしていないので、お互いに田舎臭さが漂う普通の母娘って感じですね。
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