百合子の頑張り

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駅の向かいにある、デパートと呼んでも良いのか分からない中途半端な大きさのデパートへと私たちは歩いて向かいました。 「なんかほとんど毎日のようにメールしてるから、久しぶりって感じがしないね」 「本当にね」 久しぶりの母娘の再会なのに、全く感動もへったくれもありません。似た者母娘だからというのもあるのでしょう。 「そうだ、これお屋敷からのお土産なんだけど、生ものだから冷やしてないとダメかも……どうしよう……」 この時期なので外は寒いのですが、デパートへと入ると暖房が思った以上に暑くて、生ものも入っているお土産をどうしようかと悩んでしまいました。 赤さん青さんからのお土産ですし、絶対に美味しいものと分かっているので悪くなってしまったら大変です。 「それならこっちよ」 お母さんが指をさしながら歩き始め、その後ろをついて行くとコインロッカーのコーナーがありました。その一画に『冷蔵コインロッカー』なるものがあったんですよ! 「……すごい。冷えてるコインロッカーなんてあるんだ……」 驚きながら感想を口にすると、すかさずお母さんからツッコミが入りました。 「あんたは浦島太郎みたいなものなんだから、世の中の知らないことのほうが多いんじゃないの?」 えぇ。ヒキニートでしたし、外界に出ることもありませんでしたし、今の今まで冷えてるコインロッカーがあるなんて知りませんでしたよ? でもね、お母さん。私、なぜかお酒だけはやたら詳しくなったんだよ。あまり自慢できないので言えませんが。
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