きさらぎ行きの電車に乗って⑥

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「キャア!」 思わず由紀は、その男から離れて立ち上がった。 男は血の涙を流しながら、その場に倒れこんだ。 そこには、その男の血だまりがどんどん広がって行った。 「な、なんなの?」 由紀は震える声で後ずさると、今度は先ほど目の前に立っていた女性にぶつかった。 由紀が振り返ると、その女性の首には、縄がついており、その縄は電車の握り棒につながって、女性の口からは、舌がだらしなくデロリとはみだし、目は血走って顔はうっ血して紫色になり、胸に抱いた赤子の目と口からは蛆虫がこぼれ落ちていた。 「い、いやあああああ!」 由紀は、腰が抜けて、床にしりもちをついて失禁していた。 「なんだ、お前、おもらしをしたのか。くせえな。」 見下ろしているのは、鈴木悠人だ。 「す、鈴木さん、助けて!」 「それは、無理だよ。これは、お前が望んだことなんだろう?」 「そんなわけないじゃん!」 鈴木悠人は、由紀をぞっとするような冷たい目で見下ろした。     
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