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鈴木の妻は、その様子を青ざめた顔で何も言えずにただ見つめていた。
「あんたも、何よ!ちょっと会社一のイケメンと結婚できたからっていい気にならないでよね!この娼婦が!」
「おい、ふざけんな。これ以上、うちの妻を侮辱すると訴えるぞ!いい40歳の大人が、恥ずかしくないのか?」
酷い!公衆の面前で人の年を言うなんて。
「ねえ、おまわりさん、聞いたでしょ?セクハラですよね?これ!セクハラ!」
「はいはい、わかったわかった。話は署で聞きますから。とりあえず、パトカーにおとなしく乗ってくれるかな?」
「いや!いやだ!こんなの、私じゃない!違うの!こんなはずじゃないの!」
「ほら、暴れないで!それから、あなた。前の駅で男性を痴漢に仕立てあげたでしょ?」
「あの男は、本当に痴漢なんだってば!」
「嘘はダメだよ。嘘は。あの後、防犯カメラを解析したら、彼は無罪だってわかったんだよ。」
「防犯カメラ?」
「知らなかったの?先月から設置されたんだよ。」
警察官は、二人で暴れる由紀を取り押さえた。
「いや!こんなの私じゃない!違うの!こんなはずじゃないの!私は、読者モデルだったんだから!」
青ざめて見つめているだけの鈴木の妻は、軽蔑したよな目で由紀を見下ろした。
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