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「ど……どなた、ですか」
銀髪のロン毛なんて、雰囲気としては日本大好きロシア人のコスプレって感じ。でも顔は日本人のイケメンお兄さんだし、なにより日本語しゃべってたよ?
「……ほう、やはり我の姿を捉えているようだ。己の身の危険に魂が冴えてしまったか」
魅惑の低音イケボでやっぱり日本語! 微妙な趣味のコスプレお兄さん、決定!
「あ、あの、どうやって僕の部屋に……」
か細く聞いた時、また耳鳴りがギン!と僕の耳に届いた。
だが今度はさっきのように直接頭に響くのではなく、どこか別の処から聞こえてくるような感覚。
「姉の方にも……か?」
呟いて、イケメンお兄さんが踵を返す。フワリと散った銀色の髪が、その姿と共に霞んでいく。
「え……、消えた? …………夢?」
でも彼の言った『姉の方にも』という言葉が気になるし、耳鳴りもまだ聞こえている。
「姉って……まさか!」
僕はベッドから飛び起き、もつれる足で廊下を挟んだ斜向かいの部屋に飛び込んだ。
「神楽姉ぇっ!!」
まさにその瞬間、僕を襲っていたのと同じ影が、眠っている神楽姉ぇの上で弾け飛んだ。
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