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「そうじゃな。こやつらが病邪に襲われたという事は……結界が緩んでおる」
「然り。急ぐぞ、おいで雅」
雅=みやび=くりくりお目目みやび=オカッパみやび=普段はもっと小さいみやび=動かないはずだょみやび=だって君は人形でしょみやびひめ……。
「……! やっぱり雅姫なのか!? あの人形の? ウチのご神体の!?」
疑いようもない、僕の冴え渡った魂がそれを認めている。
あの雅姫が人間の姿となって、僕の目の前をスタスタと通り過ぎていく……!
「騒ぐな神之介。わらわの形代を大事に扱ってくれる、心優しい神楽が起きてしまうではないか」
本物だーー! しかも皮肉まで!
「このうつけ者。幽体が離脱したような顔をしてないで、早うそなたも参れ」
雅姫が白い男の人にしがみついて、ギロリと僕を睨みつけた。
「参れって……あの、どこへ?」
「早うせいと言うに! 一刻を争うのじゃ!」
白い手が僕の腕を掴んだ瞬間、ゴウッと風が唸り身体が真上に舞い上がる。天井も屋根も、現実のモノを全てすり抜けて一気に夜空へ。
「ひいいいぇぇああぁぁぁーーっ!?」
「やかましい! 家人が起きる!」
クワッと鬼の形相で振り返った雅姫と僕が乗っているのは、大きな白い……尾が四本もある狐。
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