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「う……? ……っわあああぁぁぁ!?」
コタツでウトウトしていた僕は、自分の悲鳴で完全に目を覚ました。
「な、な、なんでこんなモノが僕の部屋のコタツの上に……!?」
視界いっぱいに映りこんだソレが僕をじっと見つめている。
「こんなモノとはなによ、神之介。これはいわば、ウチの神社のご神体じゃない」
同じくコタツに入っていた姉の神楽が、小さな櫛と椿油の小瓶を手に呆れ顔をした。
「か、神楽姉ぇ、なんで僕の部屋にいるの!? てか、ご神体なのはわかってるけど……僕がコレ苦手なの知ってるくせに!」
コタツの上に乗っているのは、一体の日本人形。
裾の長い着物に臙脂の傘。そして白狐のお面をチョコンと頭に乗せた、古くからウチに伝わる少女の人形だ。
我が家は代々【和楼稲荷神社】の宮司を務めている。
「バッカみたーい。高一にもなって人形=怨念が宿っていそうとか、髪が伸びた気がするとか。あと、今夜は冷えるから我が家で唯一のコタツに入りに来たの。文句ある?」
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