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「だからそう思う根拠を教えてよ」
「根拠? 根拠って……それはこの人形よ!」
ずいと僕の目の前に雅姫の人形がつきつけられた。反射的に後ずさってしまう素直なカラダ。
「ほらよくみて、この表情! 凛とした眼差し、慈悲深い口元、飽くまでも気高い美少女! これがイヤイヤ連れて行かれて、泣き叫びながら食われたショボい根性の姫に見える!?」
「……は?」
人形の顔? まさかそれが根拠!?
「ああ……ホントに素敵。その自己犠牲の精神と村を救った白楼さまをお祀りする為に、ウチの和楼稲荷は出来たんじゃない」
「えと……、その人形って姫の霊を慰めるために作られたんだよね」
つまりその顔は人形師が作ったわけで!
当たり前だけど絶対デフォルメして可愛らしく作ってるはずだし、ましてやその時の雅姫本人の顔とは全く関係がないだろうが!
……と、真っ向から反論出来ない気弱な僕。
「そうよ。雅姫そっくり! この髪もその時残された本人の髪が使われてるんだってー」
そっくりって、神楽姉ぇ本人を知らんだろ! ……って、ええっ!?
「ナニその人形! ホントに姫の髪の毛使ってんの!? 人間の髪!? うわああ、マジ無理! 僕の部屋にそれ持ち込まないでえええぇぇ!」
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