【第一章】姫人形は笑わない

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 なんて気持ち悪い!   どうりでなんとなく不気味なはずだ、絶対絶対これには姫の怨念が渦巻いてる!   「えー、こんなに可愛いのにぃ。神之介ってホントにビビりだよね。そんなんじゃあんた、ウチの神社継げないよ?」 「い、嫌なら継がなくていいって母さんが! 自分の好きな道に進みなさいって」  と言っても、特に将来の展望があるわけじゃない。まだ高校生になったばっかりだし、ゆっくり考えるつもりだ。……神主以外の道を! 「ふーん、そうなんだ。まあそしたらあたしが神主資格取るか、持ってる人を婿に選ぶからいいけどね」 「そんな奴、滅多にいないと思うけど……」 「あたしと結婚したかったら取って♪ って言えば、その気になる人いると思うよ?」  ……神楽姉ぇなら言いそうだ。そしてホントに神職目指す男も出てきそう……。 「じゃああたし、来年、國學社大学受験しようっと。あそこ神学科あるんだよねー。さて、自分の部屋に戻って寝ーよう」 「そ、そう……。頑張ってね、おやすみ……」  神楽姉ぇが例の姫人形を抱えて出ていくのを見届け、僕は心から安堵のため息を漏らした。  ホッとしたせいか、急に猛烈な睡魔が襲ってくる。 (あー……なんだろ急に。ダメだ、ちゃんとベッドで寝ないと……)  ズルズルと這うようにベッドに潜り込んだ途端、痺れた頭はいとも容易く眠りに落ちた。  ……のだけれど。
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