一章 ~二人の便利屋~

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「……やっぱりか……そうだろうとは思っていたが、やっぱり生きてんだな……」  コンテナの中でじっと少女を見つめる二世にも聞こえるように少しだけボリュームを上げた声で話すチュグ。二世の方を向き頷く。 「……と、なるとこちらとしてはこれ以上の輸送はできない。誰に彼女を引き渡すのかは詮索しないが、少なくとも真っ当な人間じゃないんだろう……見たところ15、6ってところか?……変態どものモルモットとしてはどストライクだろうな……そうじゃない?……信じられるかよ、何にせよこの子は然るべき場所に連れて行く、じゃあな」  相手の返事を待たず電話を切るチュグ。胸ポケットから煙草を取りだし、愛用のマーベラスライターで火を点け一服。コンテナの淵に腰掛け、頭を抱えた。 「どうすっかなぁ……」 「どうもこうも、 GCMA(ジーシーエムエー)行き確定っしょ?」 「まぁ、それが一番妥当か……」 『GCMA』 Gift Criminal Measures Agency《ギフト クリミナル メジャーズ エージェンシー》  ギフトを使った犯罪対策に特化した国家直属の組織。メンバーもレシピエントで構成されている。  現状、ギフト絡みか否かは判断できないが、人身売買であることは確実である為、警察、更には少女がレシピエントであった場合、通常の警察では対処できないことから最悪のケースを考えGCMAに引き取ってもらうことが妥当かと二人は考えていた。
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