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「チュグさん! やって! やって! 俺、手ぇ離せねぇから!」
「チュグさんやめろ! ……ったく、ツイてねぇな。そんなにヤバいのか……?」
チラリと荷台に目を移すも、直ぐに中身を想像することを止め、目線はサイドミラーへ。追跡者は黒のセダン。先ほどからつかず離れずの距離を保っており、狭い路地に逃げ込まれることを想定して大型車を選択していないのだろう。ミラーに映るナンバーを見る限りはレンタカー。身元を最短距離で調べられない為の方法。その3つの要素だけを鑑みても相手はプロ。しかも律儀に荷台は確実に外して撃ってくる。それほどまでに荷物を奪取したいのだろう。
「はぁ……」
助手席の男はため息一つ。眉間を軽く揉んだ後、じっとサイドミラーに映るセダンの左前輪を見つめ、懐の拳銃を取りだし
「……じゃあな」
一言だけ呟き、窓から左腕だけを出し発砲。見事追跡者の車のタイヤを打ち抜いた。バランスを崩し横転したセダン。バックミラーに映るどんどんと離れていく追跡者に対し、運転手の男は窓から右手を突き出しファックサイン。
「ふぁっきゅーめーん!!」
笑いながら更にスピードを上げた。
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