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トラックの二人が追っ手を撒いてから30分程。彼らは更に増えた車に追われていた。
「なに!? なんなの!? そんなにヤベェの!? この荷物!」
「そうみてぇだな! ったく、とんだハズレくじ引いたよ!」
会話を続けながらも運転手にチュグと呼ばれていた男は銃撃の手を休めない。その全てが的確に追っ手の車のタイヤを打ち抜き追跡者の数を減らしている。が、どれだけ撃退しても次から次へと湧いてくる追っ手。その全てが黒いセダンなのだから、さながら巣を刺激され激昂した蟻の軍隊のよう。
「……キリがねぇな……二世、予備のマガジン」
「さっきのでラスト」
「マジかよ……」
いよいよ頼みの綱の拳銃も使い物にならなくなり手詰まり。かと思えたが
「まったくー、武器なんかに頼ってるからダメなんだよ、チュグさんは」
「ならお前どうにかしろよ、どうすんだ、アレ」
「しゃーないなー。じゃあ、どうにかすっから。はい、交代」
とハンドルから手を離し助手席に移動しようとする二世と呼ばれた運転手。慌ててチュグはハンドルを握るも
「おいおいおい! 俺、免許持ってねぇし!」
「ハンドル掴んでアクセルがっちり踏み込むだけだから。俺のギフトはちょっと集中しなきゃ使えないの知ってんでしょ」
「そりゃ知ってっけど!」
トラックは丁度上り坂に差し掛かった。二世は前方の道を見据え集中。チュグは声にならない声で「おっ、あっ、えあっ」と言いながらなんとかトラックを操る。そして
「…… 独創的開メキぃぃ!!」
二世が大声で叫ぶと、トラックの前方の道、丁度上り坂の頂上に差し掛かる場所に大穴が空いた。
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