今更戻れませんっ

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 というか、立派な弟だと思っているからこそ、余計に腹が立つのだろう。  そこで、外の景色に気づいた鈴は、ハッとして言う。 「そうだ!  このバス、確か循環バスですよ!  街中をぐるぐる回ってるんですっ。  早く降りないと、教会に戻ってしまうではないですかっ」 と思わず、立ち上がり、 「……お前、逃げる気満々じゃないか。  征の何処が気に入らない?」 と言われてしまった。  私の中の征さんの評価より、この人の中の征さんの評価の方が高いようですよ……。  そう思う鈴に、今走っている場所を確かめるように外を見ていた尊が言う。 「わかった。  次のバス停で降りよう」  振り向いた尊は、征とそっくりな顔で鈴に言ってきた。
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